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![]() 茶道関連書籍出版の淡交社発行のヴィジュアル茶道誌『なごみ』5月号の特集は「時を超えて広がる 本阿弥光悦のネットワーク」。 写真やイラストを多用したグラフィックな誌面構成で、本阿弥光悦という人と芸術を知るための入門編としては手に取りやすく十分な内容。 樂家当代・吉左衞門さんと、ご子息で次代・吉左衞門となる(であろう)樂篤人さんの光悦茶碗をめぐる対談も収録されています。 ただ、内容としては特に目新しい視点はなく、編集工学研究所所長・松岡正剛さんが寄稿した私的光悦論には次のような記述も。 ”……織部や利休以降の千家の茶人たち、あるいは有楽や宗箇については、それなりの議論が語られてきた。宗達についてさえ、そこそこの推量で評伝や芸術論が試みられてきたというのに、ところがなぜか光悦についてはろくなものが著されてこなかった。……史料が乏しいことは理由にならない。宗達についても史料はないし、それこそ長次郎や本覚坊や道入にだってたいした史料はない。それなのに、とりあえずは『行状記』三巻や『にぎはひ草』のある光悦について、本格的な評論も作品論もない。……” また、MOA美術館副館長・内田篤呉さんの論考では、 ”……昭和三十九年刊林屋辰三郎編『光悦』(第一法規出版社)は、歴史、書跡、書誌、陶磁、漆工の各分野の専門家の視点から光悦像を導き出し、美術史学における光悦研究の出発点として極めて重要な意義を持つ。しかし、その後半世紀を経た今日においても本書を越える研究の進展は見られない。光悦研究は「出口のない研究」と評されるように、光悦の実像は真に捉え難いのである……” と。 お二方のおっしゃるとおり、光悦研究は遅々として進んでいないのが実状。一度定まった評価や権威を再検討、再構築するには手間も時間もエネルギーも必要でしょう。あるいは、混乱や軋轢を生ずるかもしれない。 しかし、松岡正剛さんはこうも述べています。 ”……光悦を語ることをためらってはいけない。光悦を侮ってもいけない……” 楽しみにしていた久しぶりの光悦特集記事は、皮肉にも”光悦研究は進展していない”ということを改めて知るものとなりました。
重要文化財 光悦作 赤樂兎文香合(あからくうさぎもんこうごう) 出光美術館蔵 ![]() 東京国立博物館 特集陳列 平成24年 新指定 国宝・重要文化財 4月28日(土)~5月13日(日) 月曜休館、但し祝日は開館 平成21年の赤樂茶碗「乙御前」に続く、光悦七つめの国宝・重要文化財指定陶芸作品は茶碗ではなく香合でした。 出光美術館所蔵の赤樂兎文香合が重要文化財に指定され、現在、東京国立博物館にて展示されています。 次に重文指定を受けるのは飴釉茶碗「紙屋」と予想していましたが、意外な選定となりました。 「紙屋」が持つ鷹揚な独特の存在感は、茶の湯に用いられる茶碗の中にあって極めてユニークなもの。いずれは八つめのマスターピースとなるでしょう。 ところで、赤樂兎文香合。素材を工夫して小物入れなどとしてレプリカをミュージアムショップに置けば、魅力的なミュージアムグッズになるのではないかと思いますが、どうでしょう。 【追記】 東京国立博物館では5月8日(火)から7月22日(日)までの間、国宝の舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)を展示。5月8日(火)から5月13日(日)までの6日間は赤樂兎文香合と舟橋蒔絵硯箱を同時に観ることができます。 ![]()
飴樂茶碗 銘 立峯(たつみね) 追銘 五月雨(さみだれ) 樂美術館蔵 ![]() 樂美術館 春期特別展 樂歴代の名品 秘蔵の長次郎を見る 利休所持・利休の婿 万代屋宗安伝来黒樂茶碗「万代屋黒」 3月10日(土)~6月24日(日) 月曜休館、但し祝日は開館 春期展では利休とその婿、万代屋宗安(もずや そうあん)伝来の長次郎作黒茶碗「万代屋黒」、本願寺伝来の道入(のんこう)作黒茶碗「唐衣」が初公開。 その他、樂家二代常慶の父、田中宗慶作の黒茶碗「初雪」、光悦写しを得意とした六代左入作の「雨雲写し」、そして光悦が樂家に宛てた「ちやわんや吉左殿」宛書状も展示されています。 ![]()
飴樂茶碗 銘 園城(おんじょう) 個人蔵 ![]() その冒頭、宗屋さんが光悦の飴釉茶碗「園城(おんじょう)」で濃茶を練るシーンがありました。 ![]() 茶の湯を嗜む人の数、茶道人口は年々減少が続き、高齢化が急速に進行中。「このままでは茶の湯文化も先細るばかり」だという危惧を、千宗屋さんも樂吉左衞門さんも恐らく抱いておられるのではないか。 門弟が減り続け、茶道文化が衰退してゆく…ということは同時にその周辺で生きる人々の生業も衰退してゆくということであり… 茶の湯に秘蔵主義的な、ある意味閉鎖的な側面があることは否めないでしょう。“一部のスノッブによる閉じたサロン的遊び”であっては、いずれは文化としても大人の遊びとしても立ち行かなくなる。 千宗屋さん、樂吉左衞門さん、ともにご自身のフィールドで、茶の湯を次代へと“開く”ための様々な試みをされています。 飴釉茶碗「園城」は宗屋さんが濃茶を練るという“本来の姿”でTV画面に映し出されました。ヴァーチャルとは言え、道具を“静態”ではなく“動態”として公開した。 これは“秘蔵文化”からの転換という試みの一環であるのかもしれない…そんなことを感じたのでした。 当ブログの左側、ライフログにある世界文化社刊の『名碗を観る』。林屋晴三さんと千宗屋さん、そして遠州茶道宗家13世の小堀宗実さんによって、光悦茶碗を含む名だたる名碗の“本来の姿”が美麗な写真で紹介されています。オススメです。
重要文化財 黒樂茶碗 銘 雨雲(あまぐも) 三井記念美術館蔵 ![]() 三井記念美術館 茶会への招待 -三井家の茶道具 2月8日(水)~4月8日(日) 月曜休館 一昨年に名古屋市博物館での展示がありましたが、所蔵館での展示は3年ぶりです。 三井記念美術館の展示室内には愛知県犬山市に現存する三井家ゆかりの国宝茶室・如庵(じょあん)が部分的に再現されており、今回「雨雲」はその茶室内の畳に直置きの展示。そのため照明がかなり暗く、特徴である胴の“雨模様”が見えにくいのは残念です。 如庵を造ったのは武将茶人・織田有楽斎長益(織田信長の実弟)。有楽斎(うらくさい)は光悦の茶の師の一人であったともされており、その師弟関係を示した展示、というのは考え過ぎでしょうか。 そのほか、国宝の志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」、樂家初代・長次郎作の黒樂茶碗「俊寛(しゅんかん)」、樂家三代・道入(=のんこう)作の赤樂茶碗「鵺(ぬえ)」など三井家の誇る名碗が並んでいます。 畠山記念館では3月18日(日)まで赤樂茶碗の「雪峯」が展示中です。三井記念美術館の最寄り駅・日本橋と畠山記念館の最寄り駅・高輪台とは地下鉄一本で移動できますので、一日で光悦の赤樂と黒樂を代表する「雪峯」と「雨雲」両碗を観ることも可能です。
重要文化財 赤樂茶碗 銘 雪峯(せっぽう) 畠山記念館蔵 ![]() 畠山記念館 冬季展 畠山即翁生誕130年没後40年記念Ⅳ 畠山即翁の茶会 -光悦雪峯茶碗を中心に- 1月21日(土)~3月18日(日) 毎週月曜、2月17日(金)休館 3年ぶりのお目見えです。この茶碗ほど観る者に強烈な印象を与える光悦茶碗はほかにないでしょう。 この「雪峯」は原則的に“門外不出”。畠山記念館でしか観ることはできません。また、定期的に展示されるものでもありませんので、是非、機会を逃さずに。 井上雄彦さんの漫画『バガボンド』の中で、この「雪峯」を介して光悦と沢庵が“美”について言葉を交わす印象的な場面が描かれています。 光悦曰く -心を開いて受け止めるなら この世のすべては美しくてもともと- 『バガボンド』にも、山田芳裕さんが古田織部を描いた『へうげもの』にも光悦が登場していますが、どちらも小柄な老翁として描かれています。 しかし、残されている光悦茶碗は総じて大ぶり。光悦は当時としては大柄な人だったのかもしれません。
黒樂茶碗 銘 村雲(むらくも) 樂美術館蔵 ![]() 松屋銀座 8階イベントスクエア 「ウツクシキ」桃山の茶 秀吉、織部そして宗箇 生誕四五〇年記念 上田宗箇 武将茶人の世界展 12月30日(金)~1月16日(月) 会期中無休 光悦と同時代を生き、茶の湯では古田織部を師とする同門でもあった武将茶人・上田宗箇(うえだ そうこ)。 その宗箇の手造り茶碗「さても」、そして光悦作黒茶碗「村雲」、長次郎作黒茶碗「面影」、黒織部沓茶碗などが展示されています。 ![]() BSプレミアム BSシネマ 山田洋次監督が選んだ日本の名作100本 ~家族編~ 『利休』 監督:勅使河原 宏 9月11日(日) 22:00~24:25 原作:野上彌生子『秀吉と利休』、脚本:赤瀬川原平による1989年公開作品。 音楽:武満徹、衣装デザイン:ワダエミ、等々、その内容もさることながら、キャッチコピーもまた素晴らしい。 「美は、ゆるがない。」 権利関係の問題なのか、現在に至るまでDVD化されておらず、レンタルショップからVHSビデオが消えた今となっては数少ない視聴の機会です。お見逃しなく。 劇中、今福将雄さん演じる樂家初代・長次郎が黒茶碗を焼成する場面が非常にリアルに再現されています。 この場面、クレジットにはありませんが、樂家当代・吉左衞門さんが監修にあたり、焼成を手伝っている数人の職人も、実際に樂家で黒樂窯を手伝っている職人さんたちが撮影に参加したとか。 どうりで臨場感あふれるシーンでした。 華道草月流家元であった故・勅使河原 宏さんは映画三部作として『千利休』『古田織部』『本阿弥光悦』を構想していたそうです。そのうち千利休は『利休』(1989年、松竹)、古田織部は『豪姫』(1992年、松竹)として制作され公開、光悦だけが実現しませんでした。 辻邦生さんの『嵯峨野明月記』を原作に、勅使河原さんの遺志が実現されることを願って止みません。 【追記】 劇中にはレプリカではなくホンモノの名品茶道具がいくつも登場していました。高僧の墨跡や山水図の掛物(掛け軸)、屏風、蒔絵手箱や青磁香炉、茶碗や水指。 一休宗純墨跡偈頌(げじゅ)、古田織部好みの黒織部沓形茶碗「わらや」と古伊賀水指「破袋(やぶれぶくろ)」は所蔵先の五島美術館からホンモノを借り出して使われていました。 また、重要文化財の長次郎作黒樂茶碗「大黒(おおくろ)」と赤樂茶碗「無一物(むいちもつ)」と思しき樂茶碗も登場していますが、こちらはさすがにホンモノを使って茶を点てるわけにはいかなかったようで、陶芸家・杉本貞光さん作のレプリカが使われています。 樂茶碗は低火度焼成の軟陶で耐久性が低く、脆いものです。「大黒」(個人蔵)、「無一物」(頴川美術館蔵)ともに釉薬もかなり剥落しているようで、実際の使用に耐える茶碗ではなくなっているのでしょうね。
膳所光悦(ぜぜこうえつ) MOA美術館蔵 ![]() MOA美術館 所蔵 茶の湯の道具展 8月26日(金)~10月12日(水) 木曜休館 江戸品川・御殿山での将軍(徳川家光)御成茶会で使用するために、小堀遠州が光悦に製作を依頼したとされる膳所焼茶碗、その2碗のうちの1碗と伝わるもの。 口縁から胴にかけて掛けられた濃褐色の釉薬は、確かに当時の膳所焼の釉に似ていますが、果たして光悦の手になるものなのかどうか。“伝・本阿弥光悦作”とされています。
国宝 白樂茶碗 銘 不二山(ふじさん) サンリツ服部美術館蔵 ![]() サンリツ服部美術館 江戸時代の絵画と茶~ゆかりの人々からたどる江戸の「現代アート」~ 前期 8月7日(日)~10月2日(日) 後期 10月4日(火)~12月4日(日) 月曜休館 但し、8月29日、9月19日、10月10日は開館
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